カバンをめちゃめちゃよく考えて買うクエスト ~2017サマー~ i
カバンを求める旅はつづく。
ひとがその身ひとつだけでは生きていけないのなら。
生きていくうえでいろんなものを背負ってゆくのなら。
背負って運ぶためのドウグがいる。
背負って運ぶためのドウグが、あるいは人間のほうをもう少しだけ遠くへ運んでくれる。
カバンは、ものを入れて運ぶためのドウグだけど、良いカバンはドウグのくせに、ひとを何かに駆り立てもする。目的があって手段があってドウグあるべきなのに、それが逆になることもある。ドウグが、目的を生む。
たとえば良いドウグは、ひとを少し遠くへ旅立たせるかもしれない。アイコンとして同好の士との出会いを育むかもしれない。
いや、つまりですね、良いカバンは気分がアガりますね、ってことです。
写真のデイパック、《kletterwerks》社の「kletter Day」は、去年、恋するように出会って購入に至った相棒でヘビーに使っていますが、まだ、ふと出会ったときのトキメキを思い出させてくれる良いカバンです。
妥協せず選んだものは、ずっと、良い。
これからもずっと一緒にいろんな場所に連れて行きたい好きなカバンです。ぼくは気にいったものがあると、あほみたいにそればっかり使うので、もうこのカバンだけあれば良いのでは、と思っています。ところで新しいカバンが欲しいです。
新しいカバンが欲しい。
いや、あれです、このkletter Day、去年の秋に買ったのですが、ほら、夏が来た。から梅雨のまま真夏がやってきた。で、暑いじゃないですか。背中とか。デイパックって。
まだぎりぎり大丈夫なのですが、いずれ、デイパックを背負うことによる蒸れとかで不快感をいだくのが怖い。
好きなあのコを嫌いになることなんてないと思うけど、でも、もしかしたら……とすこし不安。
そこで夏カバンです。夏カバンがほしい。
背中むれないやつが。必要なものはしっかりと入って、でも小ぶりなやつが。たとえばボディバッグ。たとえばミニショルダー。
で、今、物欲のスイッチがオンになったまま故障してオフにもどらないヤーツに陥っています。ワクワクを誘発する夢が幻惑する、迷いの森へ入り込んでいます。
で、まあ、例によって、というかなんというか、その、物欲に対して煩悶としているのを雑に記す道中記を、今から以下に。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
とりあえず「A&F」ショップに行きました。
「A&F」はアウトドアギアの専門店ですが、タウンユースにも良いグッズの扱いも多く、ラインナップも好みで、ぼくにとっての「ここにいきゃーなんか見つかる店」です。皆さんにもあると思います。「ここにいきゃーなんか見つかる店」。それです。
で、いいなーと思ったのが、《MYSTERY RANCH》というブランドのヒップバッグ。銘を「HIP MONKEY」シリーズという。 以下、写真をinstagramより引用。
それから「A&F」公式通販サイト→【MYSTERYRANCH ミステリーランチ ヒップモンキー:エイアンドエフ オンラインストア【公式通販サイト】】
伝説的アウトドアギア・メーカーの、数少ないタウンユースにもちょうど良い小型モデル。んでも、容量多く、お店で試しにふだんのデイパック(冒頭の写真のやつ・容量15L)に入れてる荷物を入れさせてもらったら、だいたい入りました。
メインコンパートメント(主にいれるとこ)以外にポケットがふたつあり、また、ベルトも丈夫そうなので、ミニポーチを付けるのもありでしょう。こういうのとか→【Lポーチ S / マルチカモ | ターグ | Helinox(ヘリノックス)公式サイト】
あと、背面は厚手のメッシュになっており、快適性も高い。
で、まあ、いいんですよ、そういう、使い勝手の良さそさとかデザインの感じとかは。大切なのはいつも、ありのままの感情でソレと対峙したときにハツを掴まれるかどうか。「なんか良い」かどうか。
ひとはもっと、おとなはとくに、「なんか良い」に正直になるべきだ。大切にしていますか。日々あなたの心を共振させるいろんな大きさの「なんか良い」を。そういうものにたくさん気づくことができる、そういう人は人生をきっとしあわせに送ることができるのではないかとかは今どうでも良いのですが、ともかくこの《MYSTERY RANCH》の「HIP MONKEY」は「なんか良い」です。
で、何が良いのか!?
なんか!!
……えーと、《MYSTERY RANCH》というブランドについては、公式サイトのブランドヒストリー曰く、
Mystery Ranch(ミステリーランチ)は『機能性』『背負い心地』『品質』そして『耐久性』の伝統の基に築かれています。2000年からミリタリー、ハンター、森林消防隊、登山家の為に過酷な現場で本当に使える職人手製のバックパックと荷物運搬システムを作り続けています。米国モンタナ州ボーズマンを拠点にグローバル展開を広げています。
と。
こういうの、いいですね。
過酷な現場でヘビーにタフに使えるんですって!
職人手製で妥協のない堅牢な作りなのですって!
あとは、アウトドアギア業界でも伝説的なブランドでもあるらしい。バックパックの最終到達地点がそこにある。
いや、まあ、あれですよ。主にぼくは会社の通勤や休日のご近所のお出かけに使うんですよ。そういうカバンがいま欲しい。
ちなみに、別に、通勤途中に山岳地帯があり頻発するゲリラ紛争により飛び交う銃弾をかいくぐって会社までいかなければならないわけではないです。休日、火事場があれば赴いてレスキュー活動に尽力するとかではないです。
ないですが、《MYSTERY RANCH》のカバンを使ってもいいじゃないか。いいですよね。
危険地帯に赴かない。耐久性をためすかのようなタフな用途で使う予定もない。でも、一生使います。カバン買おう、というときは、一生使うつもりで買うので、ぼくか、カバンのどっちかが、存在の最低条件を保てなくなるまでは多分つかう。
あれですよ、ずっと使い続ける、ということも十分にタフなのではないか。
と、こう書きながら、「なんか良い」と思えるものの何が良いのか考えていると、まあ言葉にならない茫漠としたファクタも多分にあれど、ひとつ挙げるとすれば、「そいつと一緒なれた先を想像してしあわせかどうか」だと思う。
こいつと一緒になれたらあそこに行ってみよう。興味はあったけどやらなかったあんなことにチャレンジしてみよう。
そんなことを、気が付いたら考えてしまう相手かどうか。
この《MYSTERY RANCH》の「HIP MONKEY」は、そういう相手かというと微妙だ!そんなまあ、そんなでもない。でも、なんか気になる。
もしも結局ほかのカバンを買ったとしても、見るたびにずっと気になると思う。気になって結局いずれは買ってしまうと思う。幼馴染タイプだと思う。幼馴染ってだけの関係なので相手も、こう、そういう感じを出してこないし出すのも違和感あるから、こっちもそれと気づきにくい。でも隠せない感情はお互いにあって、こころの片隅にはいつも居て、気になってしまうのだ。お互いってなんだ。カバンの話ですが。
ぼくは幼馴染とくっつくのか。あるいは別の、夏の陽炎の向こうから手を振るまだ見ぬ相手が現れるのか。
一番たのしいやつです。欲しいものがあること。その霜降りの部分をいま咀嚼している。へへへ。つづく。